未払賃金等を請求されたら?
Q.質問 未払賃金等を請求された場合、支払わなければどうなるのでしょうか? |
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A.特定社会保険労務士・行政書士岩本の回答 支払わないと労基署に駆け込まれたり裁判を提起されたりする可能性があるので、きちんと支払うようにしましょう。 |
未払賃金等とは、本来支払うべき毎月の賃金や残業代のうち、支払っていないものを言います。
賃金の支払いには、労働基準法で5つの原則が定められていますので、これらの原則を守らなければなりません。
■賃金支払の5原則
- 通貨払の原則(紙幣・硬貨等で支払うこと)
- 直接払の原則(直接労働者に支払うこと)
- 全額払の原則(全額労働者に支払うこと)
- 毎月1回以上払の原則(毎月1回は支払うこと)
- 一定期日払の原則(期日を決めて支払うこと)
ですので、この原則に従って賃金の支払いがなされていない場合は、労働者はその未払いの賃金を請求することが出来ます。
ただ、労働者に欠勤、遅刻などがあった場合、それに対応する部分の賃金相当分がを支払っていないことは支障ありません。
また、社会保険料や所得税などを賃金から差し引くことは、上記「全額払の原則」には違反しません。
あと、就業規則において、労働者に対して減給の制裁を定めている場合、その範囲以内であれば会社は減給することが出来ますので、未払賃金とはなりません。
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりません。
割増賃金の未払分を請求されたら?
割増賃金とは、所定の労働時間を延長(=残業)し、または休日に労働させた場合においては、その時間またはその日の労働については、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で割増賃金を支払わなければなりません。
この割増賃金を支払っていない場合も未払賃金として労働者から請求される可能性がありますので、残業や休日出勤等があった場合はきちんと把握し、割増賃金を払うようにしましょう。
なお、割増賃金は一律ではなく、それぞれの種類によって変わってきますのでご注意ください。
■割増賃金の種類とその割合
労働の種類 |
金額 |
時間外労働 |
通常の労働時間の賃金の2割5分以上の率で計算した額 |
休日労働 |
通常の労働日の賃金の3割5分以上の率で計算した額 |
深夜労働 |
通常の労働時間の賃金の2割5分以上の率で計算した額 |
未払賃金や残業代など、本来支払われるべき賃金等が支払われていない場合、法律の規定に従って支払わなければなりません。
ただし、退職手当を除く賃金は時効が2年となっていますので、2年以上経っている場合は支払う必要はありません。
もし、従業員に未払賃金等の支払いを求められて困っている法人様は私どもにご相談ください。