内容証明郵便が戻ってきたら?届かなかったら?
Q.質問 もし、内容証明郵便が届かなかったらどうしたらいいのでしょうか? |
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A.特定社会保険労務士・行政書士岩本の回答 「受取拒否」、「転居先不明」、「留守で受け取れなかった」など、それぞれのケースによって効果が発生する場合としない場合があります。 |
内容証明郵便を出しても、全てうまく解決できるというわけではありません。
相手方が受取りを拒否したり、受け取ったにもかかわらず何も反応しないという場合もあります。
内容証明郵便は、100%相手方の行動を促すことができる優れものというわけではないのです。
それでは、具体的にどんなケースがあり、その対処法はどうすればいいのでしょうか?
受取拒否・宛先不明・留守の場合はどうする?
では、それぞれのケースに応じて対処法等をご紹介致します。
■受取拒否
内容証明郵便を受け取った人(受取人)は、配達された内容証明郵便を必ず受け取らなければならないというわけではありません。
「私は受け取りません!」と受取りを拒否することもできるのです。
とすると、このような場合、内容証明郵便を出しても意味はないのでしょうか?
そんなことはありません。
このような場合、「相手が内容証明郵便の受取りを拒否しました」と書かれた紙が貼られて差出人の元に戻ってきます。
受取りを拒否したわけですから相手方は内容を把握していませんが、法律上、内容証明郵便に書かれた意思表示は相手に到達したことになります。
ですから、受取りを拒否しても「無駄な抵抗」になるわけです。
■転居先不明
内容証明郵便を出したとしても相手が転居していたり、夜逃げ、蒸発などで新住所が不明な場合、それを知らずに出すと「転居先不明」で内容証明郵便が戻ってきます。
このような場合も、内容証明郵便は送付しても意味はないのでしょうか?
このケースの場合、そのままだと内容証明郵便は相手に到達したという効果は発生しません。
ただ、「公示送達」という手段を利用することができます。
この公示送達とは、相手先の住所がわからない場合に、相手が最後に居住していた居住地の簡易裁判所に対して申し立て、意思表示を相手方に到達させることができる制度です。
簡易裁判所で認められれば、この公示送達が許可されます。
許可されると、裁判所が相手方に対し、「送達すべき書類を保管していて、いつでも渡します」という文書を裁判所の掲示板に掲示し、それを官報や新聞に少なくても1回は掲載します。
この掲示は、裁判所が認めれば官報や新聞に掲載する代わりに、市町村役場の掲示板に掲載することも出来ます。
(実際、市町村役場に掲載せれる方が多いようです)
そして、最後に官報、新聞に掲載又は掲示を始めた日から「2週間」が経過したときに、その意思表示が相手に到達したものとみなされます。
相手が見ようが見まいが、その効果が生じるのです。
■留守中の送付
内容証明郵便は普通郵便とは違い、配達員が手渡しで受領印をもらうことになっています。
そのため、相手方が留守なら、配達員はその内容証明郵便を郵便局に持ち帰ることになります。
そのような場合、相手方には 「書留郵便を配達しましたが留守なので郵便局に保管しています。7日以内に取りに来てください」 というような内容のハガキが残されます。
相手方がその案内をもとに郵便局へ取りに行くか、再配達の手続きをとってくれれば問題はないのですが、ほったらかしにされる可能性もあります。
その場合、保管期間が過ぎると郵便局から差出人の元に戻されてしまいます。
そうなると、内容証明郵便が相手に到達したことにはなりません。
ですから、内容証明郵便を送付した後、相手がどう出るかを読んで次の手を考えておく必要があります。
ということで、内容証明郵便はただ書いて出せばいいというものではないのです。