社会福祉法人を設立するには?
Q.質問 将来的には社会福祉法人にしたいのですが、難しいでしょうか? |
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A.特定社会保険労務士・行政書士岩本の回答 いきなり社会福祉法人を設立するにはハードルが高いですが、将来的に社会福祉法人を設立することは可能です。 |
社会福祉法人とは、社会福祉事業を行うことを目的として、「社会福祉法」の定めにより設立される法人です。
社会福祉法人は、社会福祉法第2条に規定する第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業を行います。
「第一種社会福祉事業」とは、公共性が特に高い事業で、社会的支援が必要な者の人格の尊重に重大な関係を持つ事業であると定められています。
例えば、養護老人ホームや特別養護老人ホーム、経費老人ホームなどの運営は、この「第一種社会福祉事業」として行うことができます。
これに対し、「第二種社会福祉事業」は、第一種社会福祉事業に比べて公共性が特に高いと認められておらず、法人の自主性を重んじて運営することができます。
例えば、老人居宅介護や老人デイサービス事業などを実施する際は、この「第二種社会福祉事業」に該当します。
いずれにしても、社会福祉法人は公共性が高いため、安定的で適正な運営でなければなりません。
そのため、設立の際は役員・資産などについて一定の要件を課し、運営に関しての規制・監督と支援・助成を一体的に行う仕組みがとられています。
そのため、社会福祉法人は補助金の交付や税制面での優遇措置を受けることができます。
では、社会福祉法人を設立するには、いったいどういうことを決めなければならないのでしょうか?
社会福祉法人を設立するためには、以下の事項を決める必要があります。
社会福祉法人の設立手続きの流れは?
社会福祉法人を設立するには、市との事前相談を行う必要があります。
まずは、市の福祉施策に沿った事業であるか、また、社会福祉法人としてどのような事業を行うのか、資金計画等はどう考えているかなどを相談しなければなりません。
また、福祉の担当部署だけではなく、事業で使用する予定の土地・建物について、都市計画法や建築基準法に適合しているか、許可等の必要性を事前に確認する必要があります。
市との事前相談が終われば、社会福祉法人の定款を作成していきます。
社会福祉法人の定款には、下記事項を決定し、記載しなければなりません。
■定款に記載すべき事項
- 名称
- 社会福祉事業の種類
- 事務所の所在地
- 目的
- 役員に関する事項
- 会議に関する事項
- 資産に関する事項
- 会計に関する事項
- 評議委員会を置く場合には、これに関する事項
- 公益事業を行う場合には、その種類
- 収益事業を行う場合には、その種類
- 解散に関する事項
- 定款の変更に関する事業
- 公告の方法
その他、必要事項を決定し、許可の申請書を作成していきます。
申請書類がそろったら、社会福祉法人の認可申請を行います。
ちなみに、認可の基準としては下記事項が挙げられます。
■社会福祉法人設立の認可基準
- 資産
- 目的とする社会福祉事業を行う必要を満たすものであるか
- 定款の内容及び設立手続きが法令に違反していないか 等
その上で問題がなければ、認可され、認可書が交付されます。
その後、認可があった日から2週間以内に、その主たる事務所の所在地において設立の登記を行います。
登記が完了すれば、社会福祉法人の設立手続き完了です。
介護・福祉事業を行うためにいきなり社会福祉法人を設立するということはあまりないかと思いますが、将来的に社会福祉法人にしたいという場合は、立ち上げ当初から将来的な事業展開を見据えて法人を設立し、事業を行わなければなりません。
将来的に社会福祉法人の設立をご検討の方は、専門家に一度ご相談ください。